ミクロネシアってどうなの? その3
日系キャプティブに特化したキャプティブ設立地として急成長を遂げたミクロネシア連邦。今回はその魅力をご紹介いたします。
こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。
今回も引き続きミクロネシアについての投稿です。
ミクロネシア一般についてお話しした「その1」と、キャプティブ設立地(ドミサイル)としての魅力をお話しした「その2」をまだお読みでない方は、ぜひそちらもお読みください。
さて今回は、私の滞在中のエピソードを交えて、ミクロネシアをご紹介したいと思います。
ミクロネシアでキャプティブ保険会社を運営する場合、年次株主総会と取締役会を現地で開催することになります。
実は今回のポンペイ滞在では、日本から年次総会のためにポンペイを訪問中のあるキャプティブオーナーに同行させていただきました。
この投稿で、現地への出張の様子や、滞在のイメージを持っていただけると思います。
私は今回、ホノルルからアイランドホッパー(島を数か所経由するフライト)でポンペイへ向かいました。
経路は、ホノルル⇨マジュロ環礁⇨クェゼリン環礁⇨コスラエ⇨ポンペイです。
合計10時間のフライトですが、各経由地に着陸して30-40分程度乗客の入れ替えと給油があります。
経由地では、そのまま機内に残るか、一度降りてターミナルに入ることができます。
ターミナルには小さな売店があるので、簡単な食べ物や飲み物が買えます。
ポンペイ行きのアイランドホッパーは、日本行きの飛行機とは明らかに乗客のタイプが違います。
花柄のカラフルな服を着た、体格のいい方が多かったです。
座席には映画を見れるスクリーンが付いていますが、基本的に離陸と同時に始まる映画5タイトルのどれかを見ることになります。
映画は着陸するたびに巻き戻ります。
マジュロ以降の各フライトは1時間弱なので、「アラジン」の前半部分だけを3回観ました。
ジーニーは人間に戻れたのか、気になります。
ポンペイに到着すると、空港でMRA(Micronesia Registration Advisors)の日本人スタッフの方が花飾りで歓迎してくれました。
ホテルまで送迎していただけるので、現地のことがわからない方でも安心です。
ホテルは、Cliff Rainbow Hotelに泊まりました。
客室は30-40室くらいでしょうか。
宿泊料はスタンダートが40ドル、デラックスが120ドルくらいでした。
スタンダードは日本の安いビジネスホテルくらいのグレードです。
デラックスが広くて日当たりも良いので、お勧めです。
ホテルのレストランは基本的にアメリカンが中心のメニューですが、新鮮なマグロの刺身やポケ(ハワイ風ヅケマグロ)も食べられます。
部屋には、MRAが用意してくれたウェルカムレターとポンペイの基本情報、冷蔵庫の中には飲料水やビールなどが置いてありました。
遥々やってきたミクロネシアで日本の「オモテナシ」を受け、感激です。
初日の夜は、MRA社長のスティーブ・ベイカー氏(写真一番右)に、Hide Away Restaurantでのディナーに招待していただきました。
マングローブが生茂る入江の静かなレストランで、幻想的な雰囲気の中マングローブクラブをいただきました。
Hide Awayはミクロネシアの伝統的なコテージに宿泊できる施設もあり、エコツーリズムとして人気なのだそうです。
ベイカー氏は、ミクロネシア政府を説得し日本企業向けドミサイルを開いた発起人です。
彼は非常にユニークな経歴の持ち主です。
お会いする機会があれば、彼にクリケットや爆弾テロの話を聞いてみてください。
現地でのスケジュール管理や面談の調整などは、すべてMRAの日本人スタッフの方々にサポートいただきました。
滞在中も、面談のアテンドや送迎など、色々とお世話になりました。
私はただ現地へ飛んで、MRAが組んだスケジュールを消化しただけです。
今回の出張で同行させていただいたキャプティブオーナーの方も、同様にMRAの日本人スタッフ方のサポートでスムーズに年次総会の開催とその他の出張スケジュールをこなしていました。
見知らぬ土地でキャプティブ保険会社を運営する日本企業には、非常にありがたいサービスです。
まず最初に、保険局を訪問しました。
ミクロネシア保険局は、MRAのオフィスと同じ敷地内のビルにあります。
MRAのオフィスからは徒歩1分です。
到着すると、保険局長のナカマ・サナ氏(写真左から2人目)とスタッフの方々に歓迎していただきました。
ミクロネシア政府にとって、日系キャプティブの運営をサポートできることは誇らしく、また国にとって重要な投資であると仰っていました。
ご存知の通り、弊社は日本でのキャプティブ保険の普及を目指し、日本企業に特化したキャプティブ保険サービスを提供しています。
ミクロネシアとアラカイが、同じミッションを持っていることを確認し、日本企業キャプティブの誘致で協力しあっていくことを約束しました。
ハワイ州保険局もそうですが、ミクロネシア保険局もキャプティブ保険会社の規制を専門にこなすアナリストや検査官を複数抱えています。
これは特殊な事例です。
キャプティブの認可や監督をしているのは各ドミサイルの保険局ですが、保険局の本来の業務は一般の保険会社の規制です。
キャプティブの規制は、保険局の人員が兼務しているのが一般的です。
一方、ハワイやミクロネシアは様々な企業のニーズに的確に対応できるよう、キャプティブ保険専門の人員を抱えています。
ハワイやミクロネシアのキャプティブ業界は、こういった規制当局のコミットメントとサービスインフラに支えられているのです。
ドミサイルとしてのミクロネシアは、ハワイ州と深いつながりあります。
先ずミクロネシアのキャプティブ法の草案は、ハワイ州のキャプティブ法をモデルとしています。
また、ミクロネシアの保険局はハワイ州のキャプティブマネジャーを起用してドミサイルの整備を進めてきました。
現在も、ハワイ州のキャプティブマネジャーであるクレイグ・ワタナベ氏(写真一番左)が、現地に駐在して監督業務のアドバイスを提供しています。
ワタナベ氏は、過去にハワイ州保険局で保険局長代理兼キャプティブ保険監督官をされていた方です。
弊社とも親しい関係で、今回のライセンス取得のサポートをしていただきました。
キャプティブ運営には、現地の規制当局との信頼関係が非常に重要です。
ミクロネシア保険局の方々は皆さん親しみやすく、日本企業ののニーズに親身に答える姿勢が印象的でした。
次にRamp & Mida弁護士事務所のデイブ・アンガル弁護士を訪問しました。
Ramp & Midaは、現地でキャプティブ保険会社の法務をサポートしている弁護士事務所で、会社設立、登記、法務書類の作成や管理、年次総会の開催サポートなどのサービスを提供してくれる重要なサービスプロバイダーです。
Ramp & Midaは、MRAのオフィスと同じビルにあり、MRAのオフィスのすぐ隣です。
MRAのオフィスからは、徒歩5秒の距離でした。
アンガル弁護士には、出張前からランセンス取得に必要な法人登録などでお世話になっていました。
オレゴン州出身の方で、バスケットボールやハイキングなどが趣味だそうです。
私の出張の最後の予定は、キャプティブ保険会社のオフィス施設の視察でした。
ミクロネシアでは、主にMRAがオフィススペースの確保や運営のサポートを提供してくれます。
MRAでは、前回の投稿でご紹介したような個室のオフィススペースを用意していて、月300ドル程度から利用することができます。
ハワイで同様のオフィススペースを借りようとすると約3倍以上のコストがかかりますので、コストパフォーマンスは抜群です。
MRAではオフィススペースを2か所運営しています。
一つはMRAオフィスがあるVB Center、そして日本領事館のあるOne World Centerです。
One World Centerは、MRAオフィスから車で5分くらいの距離でした。
ホノルルにも毎年キャプティブオーナーの方が年次総会のために出張に来られますが、大抵はゴルフやショッピングを楽しまれます。
ポンペイには、残念ながらゴルフ場やアラモアナ・ショッピング・センターのような娯楽施設はありません。
ポンペイの娯楽は、何といっても大自然です。
私も滞在中に、スキューバダイビングとハイキングを楽しみました。
ミクロネシアのスキューバダイビングは、世界的に有名です。
旧日本軍の沈船等を見れるチューク州のレックダイブがとくに有名ですが、ポンペイにもダイブポイントがたくさんあります。
今回はパキン環礁とアンツ環礁を中心に、6つのポイントでダイビングを楽しみました。
オアフ島の海もきれいですが、ポンペイの海は段違いでした。
サンゴ礁の種類も豊富で、魚もハワイよりはるかに多いです。
また環礁のまわりの地形も起伏に富んでいて、飽きさせません。
アンツ環礁に上陸して食べたお弁当と、新鮮なココナッツジュースは最高でした。
今回のダイビングは、Pirate Diving Serviceにお世話になりました。
ジェネラルマネジャーの茂田船長は、NAUIのダイブインストラクターで、ポンペイの海を知り尽くしています。
最終日の夜には自宅でのディナーに招待いただき、またお土産にPirateのTシャツまでいただき、本当にお世話になりました。
ありがとうございました。
ポンペイでダイビングに挑戦したい方は、ぜひパイレーツの茂田さんに相談してみてください。
出発日の朝には、キャプティブオーナーのO氏とハイキングに挑戦しました。
泊まっていたCliff Rainbow Hotelから約6キロの距離に、ソケーズロックという切り立った岩があります。
ポンペイ島のシンボルでもあるこの岩の少し手前に、旧日本軍の対空砲台と指揮所跡があることがわかりました。
今回の目的地はここです。
タクシーで行っても良かったんですが、その場のノリでホテルから走っていくことになりました。
最後の2キロは、斜度がきつくなってゼェハァものでしたが、登山が趣味のO氏は颯爽と登って行きます。
私より一回り年上の方ですが、鍛え方が違います。
O氏はNAUIのダイブマスターですが、NAUIは体育会系ダイビング団体だという噂はどうやら本当です。
目的の対空砲台は2基あり、ほぼ当時ままの姿で残っていました。
よくもまぁ、100年近くも前にこんな遠い島の山の上に基地を作ったものだと、ご先祖様の偉大さとスケールの大きさに感動しました。
軍事マニアのO氏に「これは○○式の何々砲だ」と解説してもらいましたが、まったくわかりませんでした。
この砲台は一度だけ米軍の偵察機を撃墜したことがあるのだそうです。
乗っていた米軍士官がわりと偉かったらしく、その後ポナペ(ポンペイの当時の呼び名)は手痛い反撃を受けました。
「何で撃墜しちゃうのよ!」と、砲手が理不尽な叱責を受けたという逸話が残っています。
ポナペも戦時中に空襲を受けたましたが、重要な軍事拠点ではなかったこともあり、米軍には占領されずに終戦を迎えました。
当時ポナペに在住していた数万人の日本人は、日本からの補給が途絶えた後も、現地の作物や鮮魚で終戦まで生き延びたそうです。
まさか当時の日本人たちは、60年後に日本企業がポナペで保険子会社を設立・運営することになるとは思いもしなかったことでしょう。
見晴らしの良い旧日本軍の通信基地跡で、しばし感慨にふけりました。
今回のミクロネシア出張は、私にとっても非常に収穫の多いものとなりました。
「ミクロネシアには税率しかメリットがない」などという意見をよく聞きます。
かくいう私もそんな印象を持っていました。
ここまでお読みいただいた方はもうおわかりだと思いますが、これは大きな誤解です。
今回の出張で、ミクロネシアの可能性を再確認し、無知による誤解を一新することができました。
ミクロネシアは日本企業のキャプティブ運営を支える主要ドミサイルとして、今後も重要な役割を担っていくだろうと思います。
現地でお世話になった皆さまに、あらためて御礼申し上げます。