2020年第1四半期のファクトシートが発表されました。

2020年度のハワイ州における日本企業キャプティブに関するトレンドを、解説します。

 

こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。ハワイ州保険局は、四半期毎にハワイ州キャプティブに関するファクトシート(統計)とキャプティブのリストを発表しています。2020年第1四半期のファクトシートとキャプティブリストが発表されましたので、内容を確認していきたいと思います。

 

  1. 日本企業による設立が堅調

  2. 大企業による設立のトレンド

  3. ハワイはプレミアドミサイル

 

1. 日本企業による設立が堅調

 

2020年の1月~3月までハワイ州新設キャプティブ保険会社は5社、うち4社が日本企業による設立でした。3月末現在のハワイ州日系キャプティ数は、48社になりました。2019年は新規設立11社中8社が日本企業による設立となり、ハワイドミサイル(設立地)史上初めて日本企業による設立が米国企業による設立を上回りました。2020年も、引き続き日本企業によるキャプティブ保険会社の新規設立のトレンドは健在です。キャプティブへの注目度が高まる一方で、ドミサイルとしてのハワイの優位性が評価されているのだと思います。近年のハワイでの日系キャプティブ数は、年率20%近いペースで増えています。

業種別では、製造業、インフラ業、販売業、不動産業など業種にバラツキがあり、業態に関わらず日本企業がキャプティブを導入していることがわかります。

 

2. 大企業による設立のトレンド

 

2020年1~3月期の新規設立で注目するべきは、テルモ株式会社による設立です。2018年のNTT、2019年のオリンパス、アイシン精機、パナソニックに続き、大手上場企業によるハワイキャプティブ設立が続いています。大手上場企業では、専任のリスクマネジャーの採用やリスク管理業務の一元化など、リスク管理体制の整備が進んでいます。

一定規模の企業がリスク管理体制を整備していくと、全社視点のリスク保有の考え方と、子会社視点の保険ニーズに隔たりが生じます。例えば10億円の損害は、全社的に見れば保険を買わずにリスクを保有すべきと判断できる場合でも、子会社の立場からはとても保有はできないという事態が発生します。

キャプティブにリスク保有させることで、子会社にはキャプティブ保険証券を発行し、連結ベースでは保有をするといった柔軟な対応が可能になります。また長期的な視点でキャプティブを育ててリスク管理費用を軽減する効果もあります。

リスク管理業務を充実する過程で、キャプティブ設立が検討されるのは当然の流れと言えます。

 

3. ハワイはプレミアドミサイル

 

ハワイ州は、10年以上も前から毎年日本でセミナーを開くなど、日本企業キャプティブの誘致に力を入れてきました。日本でキャプティブ保険会社が認知されるにしたがって、日本企業のキャプティブ設立地としてハワイの認知度も高くなってきました。

ハワイはキャプティブドミサイルとして30年以上の経験を持つ世界的なプレミアドミサイルですが、日本企業にとって特に優位性があります。
例えば現地サービスプロバイダーに日本語を話す専門家がいることなどは、日本から進出する企業にとって非常に心強いことでしょう。規制当局であるハワイ州保険局にも、日本語が話せる担当者が配属されています。世界的にみても、現地の担当者とストレスなく意思疎通ができるドミサイルはハワイだけです。

他にも資本金設定、預金、財務報告などをすべて日本円で行うことができるのも、日本企業にとっては魅力です。

 

参考:ハワイ州保険局 2020年3月31日付ファクトシートおよびキャプティブリスト

 


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