キャプティブ設立を検討すべきですか?
キャプティブを検討すべきかどうかは、会社の規模で大まかなの判断ができます。今回は、あなたの会社がキャプティブ設立を検討をすべきかどうか、会社の年商規模をもとに説明します。
こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。
今週は東京と大阪に出張し、見込み客にキャプティブについてのプレゼンをしてきました。東京は35度の猛暑でした。ハワイより暑くてビックリです。
今回の出張では、年商約1000億円から数兆円までの様々な規模と業種の企業を訪問させていただきました。どの企業もグローバルに事業展開している日本を代表する企業ばかりですが、キャプティブ保険についてはあまり検討したことがないという企業が多く驚きました。
キャプティブの提案に対する反応は、企業により様々です。これから5年は検討するつもりがないという企業もあれば、その場でキャプティブを活用した成長戦略のブレーンストーミングを始める企業もありました。どの企業でもキャプティブ保険の価値には一定の評価をいただきましたが、企業にはそれぞれ事情や優先事項があるということですね。
これは私の個人的な意見ですが、キャプティブ設立を検討すべきか否かは、ある程度売上(年商)の規模で判断できると思います。
年商10億円未満の企業
業態やリスクの有無によっては、検討するべきです。しかしこの規模の企業は、キャプティブを設立する企業としては最も規模が小さい企業になります。ピュアキャプティブ(保険子会社)を設立するべきか、レンタキャプティブ(口座開設による疑似キャプティブ)を活用すべきかの判断が必要です。
年商10億円以上100億円未満の企業
検討する価値が十分あります。この規模の企業は、業態によっては大きなリスクを抱えている可能性があります。ピュアキャプティブの設立を前提に、一度検討を行う必要があります。
年商100億円以上1000億円未満の企業
一度は検討してみるべきです。この規模の企業は、潜在的な大規模リスクや、キャプティブによる引受け収益のチャンスが眠っている可能性が大きいです。現在キャプティブの設立を検討している、もしくは過去10年の間に設立した日本企業は、多くがこの規模の企業です。事業規模が大きく安定しているため、キャプティブを運営する経済的余力が十分にあります。また抱えているリスクの質や量も、キャプティブ活用のメリットを十分に得られるサイズにあると言えます。
年商1000億円以上1兆円未満の企業
すぐに検討を開始し、継続的な検討を行うべきです。この規模の企業には、キャプティブ保険活用のメリットが必ずあります。この規模の企業は、キャプティブの所有が前提であり、キャプティブはリスク管理業務の重要な位置を占めているのが一般的です。業態によっては、リスク管理コストの削減や再保険に購入の他に、周辺保険サービスによる付加価値の提供など、事業を拡大するための戦略的活用が可能になります。
年商1兆円以上の企業
今すぐ設立を前提に検討を開始してください。この規模の企業は、連結社員数が数万人、連結子会社が数百社の規模になります。また顧客への付帯保険サービスや取引先の保険ニーズなど、潜在的なキャプティブのニーズが多数存在していることがあります。この規模の企業がキャプティブを設立した場合、引受保険料が数百億円になることもあります。引受保険料が数百億円といえば、中堅の国内損保会社に匹敵する規模感です。このサイズの企業では、国内で新たに損保会社を設立したり、既存の損保会社を買収したりするケースもありますが、社内のリスクを引受けるにはキャプティブがより効率的です。同様のサイズの欧米企業では、キャプティブを複数所有してリスク毎に使い分けているケースが多くあります。
あなたの会社の年商が10億円以上なら、一度はキャプティブ活用を検討してみてください。キャプティブは、全てがオーダーメイドです。あなたの会社のニーズをしっかり見極めて、本業に貢献する効果的なキャプティブプログラムを検討してください。