ハワイ州キャプティブ業界を支える3つの柱

 

ハワイ州が、世界有数のキャプティブ設立地として成長してきた陰には、ある秘密があります。今回は、ハワイ州キャプティブ業界を支える3つの柱とその関係についてお話しします。

 

こんにちは、ハワイ州キャプティブ保険マネジャーの三澤です。

先日、弊社事務所の開所パーティーを開催しました。日頃お世話になっている銀行、弁護士事務所、会計事務所、キャプティブマネジャーの方々、また日本から来布中のキャプティブコンサルタントの方など、大勢の方においでいただきました。お忙しい中おいで下さり、またお祝いのお花やメッセージをいただき、本当にありがとうございました。

 

業界によっては考えにくいことかもしれませんが、弊社のパーティーにはキャプティブマネジメントで競合するエーオンやマーシュといった企業からも、数名参加いただきました。業務では競合していますが関係は非常に良好で、こういった交流はわりと頻繁に行われています。ハワイでは、よくあることです。今回は、ハワイのキャプティブ業界を支える関係者の、良好な関係についてお話ししたいと思います。

 

ハワイ州は1980年代にキャプティブ法が制定されてから、世界有数のドミサイル(キャプティブ設立地)として発展してきました。ハワイのドミサイル発展は、常に3つの大きな柱に支えられてきました。それは、ハワイ州、サービスプロバイダー、キャプティブオーナーです。ハワイ州のドミサイルとしての成功の秘密は、この三者の良好な関係にあります。

 

ハワイ州は、二つの方法でキャプティブ業界の発展に貢献してきました。一つは立法府であるハワイ州議会によるキャプティブ法の整備、もう一つは保険業の監督を行うハワイ州保険局による規制です。ハワイ州のキャプティブ法は毎年何らかの改正が行われるのが通例ですが、法律の起草にはサービスプロバイダーやキャプティブオーナーからの要請や意見が反映されます。ハワイ州が安定したドミサイルとして人気なのは、キャプティブ法が業界関係者の意向を強く反映している結果だと言えます。

 

またハワイ州保険局による規制も、サービスプロバイダーとキャプティブオーナーとの協力体制を基礎としています。保険局と初めて面談された方は、保険局担当者のフレンドリーで謙虚な対応にいつも驚かれます。面談の際にハワイ州保険局が提供している資料には、ハワイ州政府、サービスプロバイダー、キャプティブオーナーの良好な協力関係が、ハワイ州の魅力であり誇りであると記載されています。

 

ハワイ州政府、サービスプロバイダー、キャプティブオーナーの関係をより強固にし、ハワイ州キャプティブ業界を盛り上げる仕組みの一つにハワイ州キャプティブ保険協会(HCIC)の存在があります。HCICは、サービスプロバイダーとキャプティブオーナーが参加し、ハワイ州保険局が支援している業界団体です。主な活動内容は、キャプティブ法整備のサポート、キャプティブに関する教育機会の提供、業界内の交流の場の提供などです。弊社ももちろんメンバーです。弊社は、毎年行われるHCIC主催の日本企業向けセミナーの、企画や運営などに関わっています。

ハワイ州キャプティブ保険協会 ウェブサイトはこちら

 

HCICが毎年主催しているイベントに、HCICフォーラムがあります。HCICのメンバー、サービスプロバイダー、キャプティブオーナー等が参加し、4日間にわたりセミナーや交流会を行う場です。毎年ハワイ州の4島持ち回りで開催されます。今年は10月21日から24日に、カウアイ島のグランド・ハイアット・カウアイで開催されます。先日お会いしたコンサルタントの方は、非常に内容が濃くとても良い雰囲気で、まるで祭りのようだったと仰っていました。私も毎年楽しみにしているイベントです。毎年参加していると顔見知りも増え、色々な情報交換も活発に行われます。キャプティブのオーナー企業の方はもちろん、キャプティブ設立を検討されている企業の方も、ぜひ一度参加していただきたいイベントです。

2019年HCICフォーラム ウェブサイトはこちら

 

サービスプロバイダー同士の交流も活発に行われています。ハワイ州のサービスプロバイダーは、とにかく仲が良いです。一緒に食事をしたり、クリスマスパーティーに参加したり、競合であっても関係は非常に良好です。この背景には、キャプティブドミサイルとしてハワイ州を共に盛り上げていきたい、という共通の意思があります。

 

ハワイ州キャプティブのオーナーの多くは、米国本土や日本の方々です。キャプティブオーナーのお役に立ちたい、またハワイに来ていただきたい。そんな共通の思いが、ハワイ州キャプティブ業界を支えているのだと思います。